更新日:07.12.1 
男の監督たちの描く「女の性」は幻想
女の性的役割に主体性を取り戻し、手前勝手な欲情のシステムをぶち壊す
私にとってピンク映画も一般映画もスタンスはまったく同じ


 浜野佐知さんは、十八歳で「女の性に向き合いたい」とピンク映画の現場に飛び込みました。1970年に22歳で監督デビューして以来35年、男尊女卑が横行する現場で女性の側からセックスを描いて来ました。
 「男のプロデューサーがいて男の視点で描く女性像がしっくりこなかった。メジャー受けするために妥協するくらいなら、ピンク映画の中で、自分のライフスタイルを守って撮りたいものを撮っていた方がよほど楽しい」と一般映画からの誘いも断ってピンク映画を撮ってきました。

浜野佐知さん
  「私にとってピンク映画も一般映画もスタンスは全く同じ」と語る浜野監督ですが、50代を前に転機がおとずれ、301本目にして初の一般映画が「第七官界彷徨 尾崎翠を探して」を撮ることになります。男の評論家が“はかない女々しい尾崎像”を語ってきた中で、違った視点から彼女を描き、尾崎翠とその文学世界の再発見を促しました。

 その後、桃谷方子さんの小説『百合祭』(講談社刊)を原作にして撮った「百合祭」という映画では、老年女性の性愛という難しいテーマを、軽妙なコメディタッチで描きます。これまでタブーとされてきた高齢女性のセクシュアリティをテーマに、生活の一部である性、老いても豊かな性愛のある幸せな世界を描いています。


映画『こほろぎ嬢』パンフレット表紙

映画『こほろぎ嬢』チラシ

作品詳細→旦々舎
『こほろぎ嬢』 2006年、自主制作映画

翠の作品世界そのものと向かい合い、「歩行」「地下室アントンの一夜」「こほろぎ嬢」という、翠が筆をおく直前に執筆した最後の短編小説3作を併せて映画化

●キャスト:石井あす香、鳥居しのぶ、大方斐紗子、外波山文明、宝井誠明、野依康生、平岡典子、イアン・ムーア、デルチャ・M・ガブリエラ リカヤ・スプナー、ジョナサン・ヘッド、片桐夕子、吉行和子 ●脚本:山崎邦紀 ●原作:尾崎翠「歩行」「地下室アントンの一夜」「こほろぎ嬢」


浜野佐知監督と尾崎翠作品の映画化
尾崎翠は出身地でも知る人が少なく誤った不幸伝説が流布していた。彼女の作品と出会った浜野監督は、前作「第七官界彷徨‐尾崎翠を探して」では、尾崎翠の実人生にスポットを当て、困難な時代を生きた等身大の尾崎翠像を着させた。今回の作品では尾崎翠に啓蒙や解説が必要な時期はすでに過ぎたとし、翠の作品世界そのものと向かい合って生み出されたのが『こほろぎ嬢』である。(旦々舎「こほろぎ嬢」作品紹介より要約)
『こほろぎ嬢』新春ロードーショー(東京新聞朝刊.2007.01.05)

作品紹介記事
東京新聞/'07.01.05


「女が映画を作るとき」表紙

「女が映画を作るとき」 平凡社新書、2005年1月11日刊行

ピンク映画にはじまる浜野佐知監督の映画人生を辿る著書「女が映画を作るとき」が刊行されました。1970年代から今日までの時代を背景に、映画制作の様々な出来事と思いがエネルギッシュに語られています。ぜひ御一読ください。

 目 次
 ■第一章 ピンク街道まっしぐら
 ■第二章『第七官界彷徨−尾崎翠を探して』
 ■第三章『百合祭』の長い旅
 ■第四章女性映画祭と共に
 ■第五章「早く生まれ過ぎた世代」から
 ■終章 映画監督は男の世界か?
 あとがき
 
→目次、詳細

→吉行和子さんが本を紹介(東京新聞朝刊.2005.01.22)


映画『百合祭』パンフレット表紙

作品詳細→旦々舎
『百合祭』 2001年、自主制作映画

遠くない将来に「死」が控えている現実が、飾りを捨てた単刀直入の行動に拍車をかけるのかも知れません。高齢者差別・<女性>というジェンダーに対する抑圧、という二重のカセに封印されてきた老女の性エネルギーが、生き生きと再起動する様子を、この映画は描きます。(旦々舎サイトの『百合祭』紹介文より)

●キャスト:吉行和子、ミッキーカーチス、正司歌江、白川和子、中原早苗、原知佐子、大方斐紗子、目黒幸子 ●脚本:山崎邦紀 ●原作:桃谷方子「百合祭」

桃谷方子(1955- ):「百合祭」はデビュー作で、平成11年度第33回の北海道新聞文学賞を受賞する。その後「青空」で女子高生と老人の魂の恋愛を描く。北海道札幌市出身。



映画『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』パンフレット表紙

作品詳細→旦々舎
尾崎 翠→ MIDORI
『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』 1998年、自主制作映画

尾崎翠の生涯とその代表作「第七官界彷徨」を映像化。“感覚の果て…第六感をも超える不思議な世界”が主人公の少女を通して描かれます。それに平行して描かれる白石加代子演ずる尾崎翠には、ジェンダーフリーな生活者・尾崎翠の姿があります。尾崎翠は今の時代にも新鮮に私たちに語りかけてきます。

●キャスト:白石加代子、吉行和子、
柳愛里、原田大二郎、白川和子、宮下順子、横山通代、石川真希 ●脚本:山崎邦紀 ●原作:尾崎翠「第七官界彷徨」

尾崎翠(1896-1971):「第七官界彷徨」は代表作。熱烈な読者を持ちながら、話題になることがめったになかった異色の作家。近年、全集や評伝の出版があいつぎ注目される。鳥取県岩美町出身。




●上映会のお願い●
世界の映 画祭を経巡ってきた映画ですが、尾崎翠や浜野監督の知名度は一般的なものではなく、また老人の性について肯定的に描かれた映画もまだまだ一般的ではありません。
『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』は、映画祭以外では、主に各地の女性センターや自主上映グループによって上映され、浜野佐知監督のトークとともに尾崎翠についてディスカッションしながらやってきています。
『百合祭』は、映画祭では海外でも国内でも好評を博しているのですが(モントリオール国際映画祭では口コミで急速に盛り上がり類まれなブームを巻き起こした)、国内の個別上映会はまだまだ少なく、映画館での上映も限られているのが現状です。
上映会を企画して、浜野佐知監督と「シネマ&トーク」
浜野監督の映画が巻き起こした反響、制作に至るプロセス、女性の視点で見る映画論、日本と海外の女性監督の現状と今後、などについて話しながら、観客の皆さんとディスカッションしませんか。
自主上映の組織や機会に関わりのある方で、これらの映画に興味を持たれた方があれば、ぜひ上映委員会までご連絡ください。


『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』上映実行委員会
『百合祭』上映委員会の連絡先はどちらも下記へ。

〒156ー0052 東京都世田谷区経堂3ー24ー1 株式会社 旦々舎
TEL.03-3426-0820  FAX.03-3426-1522
e-mail:tantan-s@f4.dion.ne.jp



●ビデオ発売●
映画同様、このビデオ版も大手の流通ルートを通っていません。
ビデオショップや、レンタル店、書店などにはありません。
ビデオ販売についても、直接上記
上映委員会までお申し込みくだ さい。

『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』
日本国内はもとより、世界の映 画祭を経巡ってきた映画『第七官界彷徨・尾崎翠を探して』ですが、時間の経過とと もに、上映する機会は確実に減っています。まだこの映画を未見の方、またもう一度 観たい方にお勧めしたいビデオ版です。
微妙な明暗が魅力の本作ですが、気になる画質は、撮影部と照明部の技師が立 ち合って改めて調整した、自信を持ってお勧めできるものです。尾崎翠の作品とともに、このビデオをお手元に置いてください。
<VHS/カラー108分/税込価格6,300円+送料390円>

『百合祭』
吉行和子、ミッキーカーチス、正司歌江、白川和子、原知佐子、中原早苗ら実力派の競演によって、タブーだった老年女性の性愛をカラっと描いた話題作がビデオになりました。
モントリオール国際映画祭で笑いの渦を巻き起こし、トリノ国際女性映画祭では準グランプリ受賞、そのほか15ヶ国・38都市で上映され、今も世界中で引っ張りだこの作品です。国内では男女共同参画センターや女性センターなどを中心に上映され、熱い議論の的になっている必見の作品です。
<VHS/カラー100分/税込価格6,300円+送料390円>
『百合祭』パンフレット(800円)付き


2本セットでお求めの方への特典
 
各映画パンフレット付き2本セット価格:¥10,000/税・送料別


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