1場

 一年生になったひさちゃんは、ちょっと遠くの小学校へ通っています。近くの小学校が空襲(くうしゅう)で焼けてしまったからです。
 学校帰り、同級生の男の子に声をかけられました。
「君ん()こっちかい」
「そうよ」
ひさちゃんの指さす方を見ると、一面の焼け野原の中に、風で吹き飛ばされそうなバラックが見えました。
 バラックというのは、焼け跡から掘り出した焼けた棒くいや焼けトタンで建てた 粗末 (そまつ)な小屋のことです。
「あれ、にわとり小屋みたい」
「そうよ、にわとり小屋のひさ子よ」
「にわとり小屋のひよ子?」
「君ん家は」
「おれ、都営の高崎さ」
小学校の焼け跡に建った 簡易 (かんい)都営住宅に 抽選 (ちゅうせん) で入れた高崎です。
「えっ、タカとサギ、こわー」
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